THP日次報告:市場動静

記録日:2025年9月10日 (JST) | 対象日時:2025年9月9日 取引終了時点

総括:嵐の前の不気味な静けさ。水面下で進む「歪み」の拡大

9月9日の世界市場は、前日の「ワルプルギスの前兆」発火を受けた動揺から、一見すると小康状態を取り戻したかのように見えた。しかし、各市場の動静を詳細に分析すると、それは真の安定ではなく、 主要国間の認識の乖離と、通貨システムへの不信という構造的な「歪み」が、より一層拡大している ことを示す、極めて危険な兆候であった。金(ゴールド)は依然として歴史的な高値圏に張り付いており、前日の事象が単なる一時的なパニックではなかったことを証明している。

詳細分析

1. 米国市場:見せかけの反発と、消えない不信感

この日の上昇は、経済のファンダメンタル改善を伴うものではなく、あくまで前日の急落に対する自律反発(テクニカルリバウンド)の域を出ない。市場の関心は完全に「景気後退(リセッション)懸念」へと移行しており、FRBによる追加利下げへの期待感が、かろうじて相場を下支えしているに過ぎない。 企業の倒産件数に関する報道が徐々に増え始めており 、市場参加者の間では、表面的な株価の動きとは裏腹に、信用市場への警戒感が急速に高まっている。

2. 欧州市場:構造問題の再認識と、続く資金流出

前日に提出されたレポート 『欧州金融ショック:総合評価』 で指摘された、フランスの政治不安とイタリアの企業倒産リスクが、改めて市場の重石となった。特に、複数の格付け機関がフランス国債の見通しについて言及を始めたとの観測が流れ、投資家心理を冷やした。ECBによる抜本的な対策への期待は薄く、 ユーロ圏からの緩やかだが確実な資金流出が継続している 模様。

3. 日本市場:世界の現実から目を背けた、危険な「独歩高」の継続

世界的なリスクオフムードと、基軸通貨システムへの不信が高まる中で、日本市場だけが「円安による企業業績への期待」という国内限定のナラティブを支えに上昇を続けている。これは、 世界で唯一、ワルプルギスの前兆を無視している市場 であり、その歪みは極めて危険なレベルに達している。グローバルな信用収縮が本格化した場合、この脆弱な楽観論は一瞬で崩壊し、海外投機筋の格好の標的となるリスクを内包している。

4. 中国市場:不動産危機の深化と人民元への圧力

大手不動産開発会社の新たなデフォルト懸念が報じられ、不動産セクターへの不安が再燃。中国政府による断片的な景気刺激策は効果を発揮しておらず、景気の先行き不透明感から、海外への資本流出圧力が再び高まっている。

主要指標(為替・商品)

結論

9月9日の市場は、破局的なクラッシュこそ回避されたものの、その静けさは偽りのものだ。金価格の高止まりは、世界がもはや以前の金融システムには戻れないことを静かに、しかし明確に告げている。
各国市場の足並みは乱れ、特に日本の「独歩高」は、来るべき衝撃に対する備えが全くできていないことを露呈している。この歪みが臨界点に達した時、その反動は計り知れないものとなるだろう。

The Horizon Protocol は、引き続き全オペレーションを警戒レベル「赤」で継続する。

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