9月11日、市場が最も恐れていた事態が発生した。発表された米国の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、インフレの根深さを改めて証明したのである。この一撃により、FRBによる利下げ期待は完全に粉砕され、世界の株式市場は全面安に見舞われた。
この世界的なリスクオフの流れの中、日本市場だけがCPI発表前に取引を終え、前日の米国市場の小反発を頼りに続伸した。しかし、この 世界の現実から完全に断絶された「孤独な高値」 は、もはや祝祭ではなく、崩壊の崖っぷちに立つ危険な兆候でしかない。恐怖を感じ取った資金は安全資産へと逃避し、 金(ゴールド)は$3,700ドル を突破。市場の真のセンチメントはこちらにある。
ダウ工業株30種平均は -1.8% 、S&P 500は -2.1% と大幅下落。予想を上回るCPIを受け、市場は「より高く、より長く(Higher for Longer)」の金利シナリオを完全に織り込み始めた。これまで相場を支えてきた「ソフトランディング」への期待は完全に剥落し、景気後退(リセッション)への恐怖が市場を支配した。
日経平均株価は、米CPI発表前に取引を終え、 44,150円台 と3日続伸し、連日の史上最高値更新となった。しかし、これは世界のセンチメントとは真逆の動きであり、時間外取引では先物が急落。円安がさらに進行し 1ドル=149円台 に迫る中、この株高がいかに脆弱な土台の上にあるかが露呈した。
米CPI発表を受けて、欧州の主要指数も軒並み下落。FRBの利下げが遠のいたことは、欧州経済にとってもマイナスであり、世界同時株安の様相を呈した。特に金利上昇に弱いハイテク株や不動産株が売られた。
上海総合指数は小幅安。国内の不動産問題や景気減速懸念が根強く、世界的なリスクオフの流れも重石となり、上値の重い展開が続いている。
金価格の急騰は、法定通貨への不信と株式市場からの資金逃避を明確に示している。一方で、景気後退懸念から原油価格は下落。ドル円は、日米金利差の拡大観測から円が一段と売られ、149円台を窺う展開。日本の株高が、自国通貨の価値毀損と引き換えであることを浮き彫りにしている。
9月11日のインフレショックは、これまで市場を支配してきた楽観的なシナリオの「終わり」を告げた。そして、それはワルプルギスという「始まり」へのカウントダウンが最終段階に入ったことを意味する。
世界の現実から目を背け、孤独な高値を更新した日本市場の歪みは、もはや臨界点を超えている。この断絶が修正される時、その衝撃は計り知れない。
T-19