2025年9月14日 (日) の市況と観測

T-16: 静寂の中の時限爆弾

総括:市場は閉ざされ、地獄の釜が開く

9月14日、日曜。世界の金融市場は閉場しており、数字上の動きは何一つない。しかし、この静寂は嵐の前の不気味な静けさに他ならない。週末にかけて、米国サブプライム自動車ローン市場の深層で起きていた構造的腐敗が、複数のDR(意思決定要求)によって我々のデスクに届けられた。これは、2008年の金融危機を彷彿とさせる「証券化」という名の錬金術が、再びシステム全体を蝕んでいる動かぬ証拠である。市場参加者は明日、月曜日の市場開始を固唾をのんで見守っている。ブラックマンデーの再来は、もはや単なる憶測ではない。

週末に浮上した新たな火種

  • Tricolor社の破綻と二重担保疑惑: 大手サブプライム自動車ローン会社Tricolor Holdingsが破綻。その背景に、同じ資産を複数の金融機関に担保として差し入れる「二重担保」という悪質な不正疑惑が浮上。米司法省(DOJ)が捜査を開始したとの情報が錯綜している。
  • 金融システムの核心への汚染: この問題の根源は、JPモルガンやバークレイズといった巨大投資銀行が、「倉庫融資(ウェアハウス・ライン)」の貸し手であると同時に、そのローンを束ねて証券化するABS(資産担保証券)の引受幹事でもあるという、深刻な利益相反にある。彼らはリスクを組成し、そのリスクを世界中に販売している。
  • 2008年のデジャヴ: この構造は、サブプライム住宅ローン危機を引き起こしたCDO(債務担保証券)と全く同じ構図である。一つの企業の不正が、証券化というプロセスを通じて金融システム全体の信頼を揺るがす事態に発展しつつある。

観測と分析

我々の分析によれば、このサブプライム自動車ローンABS市場の崩壊は、9月30日の「ワルプルギス(米国債プライマリ入札不成立)」の蓋然性を飛躍的に高める。なぜなら、JPモルガンやバークレイズは、米国債を最終的に引き受ける義務を負うプライマリーディーラーでもあるからだ。

ABS市場での巨額損失は、彼らのバランスシートを直撃し、米国債を引き受ける余力を奪う。 「自動車・ソブリン・ドゥームループ」 —自動車ローンの焦げ付きが、国家の信用(ソブリン債)を破壊するという、悪夢の連鎖が現実味を帯びてきた。

0915にブラックマンデーが発生するという確証はない。しかし、市場が閉じていたこの週末に、パンドラの箱が開いてしまったことだけは確かである。