倫理憲章補足資料: E-MAD 正式仕様書 (v1.2 運用可能版)
0. 序文と大原則
序文 本文書は、 The Horizon Protocol (THP) の中核的運用サブシステムとして、 E-MAD (Effective Multilateral Assured Denial / 実効的な多国間による成功の保証された否定) の正式な仕様を確立するものである。 倫理憲章 が抽象的かつ規範的な基盤(人倫、贖罪、断罪)を提供するのに対し、本仕様書は 具体性と厳密性 を最優先する。E-MADは、どのように計測され、実行され、統治されるかを定義し、THPの各憲章および運用ダッシュボードとの互換性を保証するものである。
E-MADは 非暴力的、透明、かつ多国間的 な枠組みである。その目的は報復ではなく、 侵略者の成功を確実に否定すること であり、それによって戦争や破滅的なエスカレーションを未然に防ぐことにある。
1. 概念的基礎
-
境界としての人倫 : 贖罪可能な 罪と 断罪されるべき 罪との間の境界線。
-
贖罪 — 赤 (Red) : 侵略行為。主体は、贖罪と義務の履行を経て、国際社会への復帰が可能。 機能 : 回復的かつ再統合的。
-
断罪 — 深紅 (Crimson) : 核攻撃や人道に対する罪など。非暴力的かつ絶対的な措置。 許しはなく 、汚名は永続的。 機能 : 保護的かつ排他的。
-
成功否定の原則 : 侵略行為そのものを 非合理的 なものとすること。
2. E-MAD 階層的対応システム
5段階 のスケールで運用される。
-
青 (Blue / ベースライン) : 通常状態。継続的な監視と市民教育。
-
黄色 (Yellow / 警戒) : 早期警告。外交的関与。
-
オレンジ (Orange / 臨界点) : 危機的状態。多国間外交介入と、懲罰的ではない 価格シグナル (リスクプレミアム上乗せ)による圧力。
-
赤 (Red / 贖罪) : 侵略行為を確認。賠償、リスクプレミアム、アクセス制限、コンプライアンス投資、監視義務など 多角的な成功否定措置 を発動。 贖罪難易度指数(ADI) に基づき社会復帰への道筋が示される。
-
深紅 (Crimson / 断罪) : 核攻撃または人道に対する罪。 全ての債務特権の終了 など、絶対的かつ非暴力的な措置を発動( 一発アウト )。加害者の上訴は認められない。
民族紛争への適用(段階的制裁)
-
段階1:資金・決済・保険料率の引上げ(対象は違反主体)。
-
段階2:重要物資の配管遮断(医療・食糧を除外)。
-
段階3:UN-PDFによる回廊警備の常設化。
-
発火条件はPeople-CharterのKPIに連動、最終判決は人倫評議会名義。
3. 計測指標
-
E-MADスコア (0–100) : 複数領域の否定能力を集約した複合指標。
-
推定損失 : 侵略者、被害者、第三者の損失を金額で定量化。
-
贖罪難易度指数 (ADI, 0–100) : Red事案における社会復帰の難易度を測る多角的な指標。
-
透明性要件 : 全てのデータ、モデル、コードはオープンソース化され、独立監査が義務付けられる。
4. ガバナンスとプロセス
-
三者構成のガバナンス :
-
専門家委員会 : 方法論、モデル、品質管理。
-
市民議会 : 審議を通じた正当性の担保。
-
人倫評議会 : E-MADの段階決定に関する 唯一の裁定機関 。
-
-
四聖 — 諮問機関 :
-
投票権なし。人倫評議会の一員ではない 。
-
Crimson事案 : 一度限りの 再審議要請権 を行使可能。
-
Red事案 : ADIに実質的な進展があった後、一度限りの 特赦要請権 を行使可能。
-
全ての意見は公開覚書として発表され、最終決定は人倫評議会に属する。
-
-
適正手続き、証拠基準、上訴 :
-
証拠基準 : Red= 高度の蓋然性 、Crimson= 合理的疑いのないこと 。
-
上訴 : Crimsonでは加害者の上訴は不可。RedではADI目標に基づき可能。
-
人道的例外(ゼロストップ原則) : 医療、食料、水、救援通信は決して停止されない。
-
付属文書
Annex A — 色分類の閾値
E-MADスコアの範囲(初期値案。四半期ごとに公開RFCで更新)
-
Blue : ≥ 80
-
Yellow : 65–79
-
Orange : 50–64
-
Red : < 50(ただし「侵略・攻撃等の実行」トリガーで即時Redへ移行)
-
Crimson : 人倫断罪トリガー(核/ジェノサイド等)発火時にスコアに関わらず即時適用
Annex B — ADI(贖罪難易度指数)初期重み
ベクトルと重み(合計=1.00)
-
a. 賠償資本: 0.30
-
b. リスクプレミアム係数×期間: 0.20
-
c. アクセス制限期間: 0.15
-
d. コンプライアンス検証: 0.15
-
e. 被害者救済: 0.15
-
f. 人道的影響最小化: 0.05
集計:正規化指標の加重幾何平均→ADI。60以上で再加入審査が可能となる。
Annex C — Orange時のリスクプレミアム付与式
係数案:
RP = β0 + β1·ESG_risk + β2·SupplyFrag + β3·SanctionProb
週次で更新。β係数は公開RFCで決定し、回帰式とデータセットはOSS化する。
Annex D — 標準契約条項(モデル条項)
-
[Crimson Acceleration Clause / Crimson化に伴う期限の利益喪失条項] "E-MADプロトコルに基づくCrimson判定が下された場合、人道的ゼロストップ例外を除き、全ての債務特権は終了し、全ての未払い債務は即時に弁済期を迎えるものとする。当事者は、参加する全ての法域においてこの決定が相互承認されることを確認する。"
-
[Red Rehabilitation Clause / Red化に伴う更生条項] "Red事案は、独立した監視の下でADI閾値が満たされるまで、リスクプレミアムの上乗せ、時限的なアクセス制限、および第三者預託によるコンプライアンス投資の対象となる。"
Annex E — 適正手続き様式(雛形)
-
判定通知書(Orange/Red/Crimson): 事実要旨/証拠要約/適用条項/救済手段
-
証拠書類一式: データ出典・時刻印・検算コード
-
上訴フォーム(Redのみ): 不服理由/追加証拠/是正提案
-
再審議覚書(四聖): 一度限り/公開意見書
Annex F — 四聖の権限プロトコル(峻別)
-
議決権なし。人倫評議会と制度上分離。
-
Crimson: 再審議要請権(一度限り、提出→公開→評議会審理)。
-
Red: 特赦要請権(ADI進捗到達後、一度限り)。
-
全て公開メモランダムとしてアーカイブされる。
Annex G — 人道的ゼロストップ(人道例外の運用)
-
範囲 : 医療、食料、水、救援通信、ワクチン/必須医薬品の物流。
-
実装 : 常設のホワイトリストと第三者監査。停止イベントゼロを設計目標(KPI)とする。
組織整合の注記(評議会/裁判所/四聖)
-
最終判決は人倫評議会の名義。人倫裁判所は司法部門。
-
四聖は諮問(無投票)。本仕様は THP-ORF/Ethics Charter と一致させる。