THP-5 Lexicon - 用語辞書
はじめに
The Horizon Protocol (THP) は、既存の政治・経済・社会システムが機能不全に陥る「ワルプルギス」後の世界において、文明の存続と再構築を目指すための包括的なフレームワークです。本用語辞書は、THPを構成する独自の概念、およびその背景にある思想を理解するための一助となることを目的とします。
本文書は、THPの思想的基盤を解説する 「研究版」 と、より平易な言葉で本質を説明する 「条文版」 の二層構造で記述されています。
A. THP基幹用語
The Horizon Protocol (THP) - ホライゾン・プロトコル
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研究版: ワルプルギスによって既存の国際秩序が崩壊した後の世界で、人類文明の最低限の機能を維持し、新たな国際協調の枠組み(UN rev.2)へとソフトランディングさせることを目的とした、包括的な危機対応・文明再構築プロトコル。その核心は、金融システムの安定化(Fiat-Rev2)、物理的な生存基盤の確保(ライフライン計画)、そして新たな倫理規範(E-MAD)の三本柱から構成される。THPは静的な計画ではなく、LSC-OSに基づき、常に現実と対話し、自己を修正し続ける動的なシステムである。
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条文版: 世界的な大混乱(ワルプルギス)が起きた後、私たちの生活を守り、新しい世界のルールを作るための、包括的な計画。お金の流れを安定させ、水や食料、電気といった生活必需品を確保し、争いが起きないようにするための新しい倫理観を提唱する、未来への羅針盤。
Walpurgis - ワルプルギス
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研究版: 2025年9月30日の米国債入札不成立をトリガーとする、全世界的なシステミック金融危機、およびそれに付随して発生する地政学的・社会的・人道的な複合災害の総称。これは周期的な経済危機ではなく、2008年の金融危機以降に構築されたグローバル金融システムの構造的欠陥(特にSLR、CCP証拠金制度のプロシクリカリティ)が、地政学的緊張や社会の分断と共振して引き起こされる、秩序そのものの崩壊(Extinction-Level Event)である。
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条文版: 世界の金融システムの「設定ミス」が原因で起こる、避けられない世界規模の大混乱。経済だけでなく、国家間の対立や社会の混乱など、あらゆる問題が一斉に噴出する「災厄の嵐」。
Lifeline Resource Plan - ライフライン資源計画
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研究版: ワルプルギスによる貿易金融の崩壊後も、人道的危機を防ぐために最低限の国際物流を維持するための実務計画。日本・インド・シンガポール・マレーシア(JIMS)を中核とする少数国間(ミニラテラル)協定に基づき、非ドル建ての代替決済レールと、政府保証による貿易金融(L/C保証、再保険プール)を組み合わせる。対象品目は、水、医療、電力、食料に関連するライフライン資源に限定される。
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条文版: 世界が大混乱に陥っても、水や薬、電気、食べ物といった、私たちが生きていくために最低限必要なものが止まらないようにするための計画。信頼できる国同士で協力し、安全な輸送ルートと新しいお金の支払い方を確保する、命の綱。
B. 倫理・安全保障関連用語
E-MAD (Economically Mutually Assured Destruction) - 経済的相互確証破壊
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研究版: THPの倫理憲章の核心をなす、新たな国際安全保障の枠組み。核兵器による物理的な相互確証破壊(MAD)に代わり、「秩序を破壊する行為は、即座にグローバル経済システムからの排除(=経済的死)を意味する」という確実性によって、国家の暴発を抑止する。その執行は、人倫評議会の裁定に基づき、金融制裁(決済網からの排除)、貿易制裁(ライフラインの遮断)、保険・海運からの排除といった形で、段階的かつ自動的に行われる。
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条文版: 「ルールを破った国は、即座に世界経済の仲間外れにする」という新しい安全保障の考え方。戦争を起こすよりも、経済的に孤立する方が国家にとって致命的である、という現実に基づいた、争いを防ぐための仕組み。
人倫評議会 (Council of Ethics) / 人倫裁判所 (Court of Ethics)
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研究版: E-MADの運用と、THP倫理憲章の解釈を行う最高機関。 評議会 は、倫理規範の議論や政策提言といった審議機能を担う上位概念。 裁判所 は、具体的な事案に対して「普遍的大罪」への該当性を判断し、E-MADの発動を承認する司法機能を担う執行機関。その構成員は、政治的・国家的利益から独立した、普遍的な倫理観を持つとされる「文明の象徴(四聖)」によって構成される。
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条文版: 世界の平和とルールを守るための、新しい国際的な裁判所。「何が正しいことか」を議論し(評議会)、ルールを破った国や組織に対して、E-MADによる罰則を与えるかどうかを決定する(裁判所)、公平な審判員。
UN-PDF (United Nations Peace Defense Force) - 国連平和防衛軍
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研究版: 人倫裁判所の判決を物理的に執行し、ライフライン計画における人道回廊の安全を確保するための、新たな国連(UN rev.2)の実力組織。その構成は、自衛隊とインド軍を中核とし、NTTの通信技術やゼネコンのインフラ復旧能力を補完戦力とする。米軍の役割は、後方支援(資機材・輸送・C4ISR)に限定される。武力行使は、交戦規定(ROE)に基づき、極めて限定的な状況下でのみ許可される。
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条文版: 世界の平和を「力」で守るための、新しい国連の部隊。人道支援のルートを守ったり、ルールを破った国に言うことを聞かせたりするために活動する、最後の砦。
C. 経済・金融関連用語
税金 (Tax)
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研究版: 現代貨幣理論(MMT)の観点から、税は国家の 財源ではない 。自国通貨を発行できる政府は、歳出のために事前に国民から税金を徴収する必要はない。税の真の役割は、以下の三点に集約される。
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インフレ抑制: 民間部門から購買力を吸収し、経済の過熱(インフレ)を抑制する。
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富の再分配: 格差を是正し、社会の安定を維持する。
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通貨への需要創出: 国民に納税義務を課すことで、政府が発行する通貨(例:日本円)への永続的な需要を創出し、その価値を担保する。
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条文版: 多くの人が「国が使うお金を集めるため」と思っていますが、本当の役割は違います。税金は、モノの値段が上がりすぎるのを防いだり(インフレ抑制)、お金持ちとそうでない人の差を小さくしたり(再分配)、そして何より「日本円」というお金に「納税で必要だから価値がある」とお墨付きを与えるための、 経済のバランスを調整する重要な道具 なのです。
家計簿財政 (Household Budget Fallacy)
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研究版: 国家財政を、収入(税収)の範囲内で支出を賄うべきだとする、家計の論理に準える誤った考え方。自国通貨を発行できる政府は、家計や企業とは異なり、自らが発行する通貨で破綻することはない。この誤謬は、デフレ期における緊縮財政を正当化し、経済の停滞を長期化させるイデオロギー的基盤となる。
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条文版: 「国の借金は大変だ、家計と同じで節約しなきゃ」という考え方は、実は間違いです。自分の家でお金を作れない家庭と、お金(日本円)を作れる国とでは、根本的にルールが違います。この勘違いが、必要な公共サービスを削り、みんなを貧しくしてしまう原因になっています。
Fiat-Rev2 - フィアット通貨 Rev.2
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研究版: ワルプルギスで崩壊した米ドル基軸通貨体制に代わる、新たな国際通貨体制。その中核は、唯一信認を維持できる日本円と、日本の信用保証をバックとした、インド・ルピーやブラジル・レアルといった地域基軸通貨のスワップ網から構成される。エネルギーや重要物資の決済は、この非ドル建ての通貨バスケットと、mBridgeのような代替決済システムを通じて行われる。
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条文版: ドルが信用できなくなった後の世界で使われる、新しいお金の仕組み。日本の「円」を中心に、信頼できる国々のお金同士を直接交換できるようにすることで、安定した貿易を可能にする。
D. 思考・分析モデル関連用語
LSC-OS (Lopsided Seesaw Capitalism Operating System) - 天秤資本主義OS
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研究版: THPの根幹をなす思考のオペレーティングシステム。「現実と理論が矛盾する時、常に間違っているのは理論である」という第一原理に基づき、固定観念やイデオロギーを排し、常に現実のデータと対話しながら最適解を模索し続ける思考法。その公理には「異常こそ尊い」「感情こそ最強」といった、従来の合理主義とは異なる人間行動の現実を直視する原則が含まれる。
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条文版: 「頭でっかちにならず、現実をちゃんと見よう」「面倒くさいことをやめて、もっと賢くやろう」という、考え方のコツ。机上の空論ではなく、実際のデータと人間の感情を大事にしながら、常にやり方を見直していくための、柔軟な思考法。
トランプモデル(Trump’s Justice)
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定義 :危機下における「勝利の可視化」と「即応・反射的抑止」を中核とする行動原理。
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趣旨 :報復の無限連鎖を避けつつ、抑止力を最大化するための仕組み。
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四原則 :
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可視化 — 達成基準や実績を数値・図表で即時に示す。
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即応 — 敵対行為の兆候に対し、72時間以内に限定的対処を実行。
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限定 — 目的・対象・期間を限定し、無差別的拡大を禁ずる(標準72時間サンセット)。
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監査 — 全ての対処に監査ヘッダー(ACTION_ID, WHO, WHEN, WHY, WHAT, EXPIRY, APPROVER)を必須化。
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運用 :Ops-KPIの「違和感指数」と連携し、広報パック(LM-07)で事実の可視化素材として用いる。
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参照 :補遺「研究版:トランプモデル」。
0930シンボリズム
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定義 :「09:30(米株開場時刻)」と「09/30(臨界日)」の二重の記号を活用する運用設計。
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目的 :国民・市場・国際社会への告知タイミングを定時・定型化し、混乱を抑制。
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規定 :
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日次サイクル — 09:30 JSTに一次発信、15:00に中間、21:30に確定版。
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臨界日 — 09/30にはL1〜L3介入可否の最終確定アナウンスを行う。
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連携 :広報パック(LM-07)のエンバーゴ設定と同期。
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参照 :補遺「0930シンボリズム(補説)」。