THP-5: Lexicon ― 用語辞書(完全版)
本辞書は、The Horizon Protocol (THP) における主要概念を、学術版(厳密定義)と説明版(平易解説)の二層構造で記述する。
各用語は、THP-2 倫理憲章および関連憲章・補遺との参照関係を明示する。
人倫(Humanity / Ethics)【参照:THP-2 序文・第1条】
学術版 「人倫」とは、人間が「人間」として存在するために必要な防護壁であり、現実の弱肉強食的環境に対抗する集団的自衛の根幹である。秩序はこの人倫を唯一の基準とし、行為を「贖罪」と「断罪」に区分することで維持される。
説明版 人倫は「人として守るべき道」。厳しい世界からみんなを守る壁のようなもの。壁を壊す行為は「罪」となり、償えば中に戻れる(贖罪)、絶対に許されないとされたら追放(断罪)になる。
秩序(Order)【参照:THP-2 序文】
学術版 秩序とは、人倫を唯一の基準とし、贖罪と断罪を通じて集団的自衛を維持する仕組みを指す。個別集団の内部規範はその主体の裁量に委ねられるが、人類規模では本憲章に基づく普遍秩序が適用される。
説明版 秩序は「人倫のルールを守って、みんなで生き延びる仕組み」。それぞれの国や団体は自分のルールを持っていいけれど、人類全体では「人倫」が共通のルールになる。
責任と権限の不可分性(Inseparability of Responsibility and Authority)【参照:THP-2 運用基本原則】
学術版 1. 原則: 権限の行使には、当該行為に対する説明責任および結果引受責任が必ず伴う。
資格: 自らが結果を引き受ける意思を有しない行為主体は、当該行為に対応する権限を行使してはならない。
擬制: 権限を行使した時点で、当該主体はその結果に対する責任を引き受ける意思を表明したものとみなされる。
性質: 本原則は、人の価値や属性を評価するものではなく、行為と権限の関係を定義するための運用原則である。
説明版 * 権限を使うなら責任もセット: 大きな力やルールを使う人は、その結果を説明する義務と、何が起きても自分で責任を取るという覚悟が必要。
責任を取れないなら使わない: 自分で結果を引き受けるつもりがない人は、その力を使ってはいけない。
使った=覚悟した: 力を行使した時点で、その人は「何が起きても自分が責任を取る」と約束したことになる。
人権(Human Rights)【参照:THP-2 第0条】
学術版 人権は天賦のものではなく、人倫を遵守する共同体の構成員にのみ付与される「資格」である。付与主体は、①所属集団による国内的付与、②全人類的合意に基づく国際的付与、の二層構造から成る。人倫から外れる行為は人権の資格を喪失させ、集団的自衛の保護対象外とする。
説明版 人権は「生まれつき当然あるもの」ではなく、「人倫を守る人に、みんなで与える資格」。ルールを守る仲間だからこそ、国や人類全体から権利が保障される。
普遍的人権(Universal Human Rights)【参照:THP-2 第0条/THP-3 禁止慣行リスト】
学術版 いかなる文化・宗教的背景をも超越して優先される最低基準。THP-3 民族憲章に定められた「禁止慣行リスト」に反する行為は、いかなる文脈における正当化も認められない。
説明版 世界中どんな文化や宗教であっても、絶対に破ってはいけない最低限のルール。独自の慣習であっても、この基準を侵すことはできない。
普遍的大罪(Universal Crimes)【参照:THP-2 序文・第2条】
学術版 人類全体に対して「断罪」の対象となる極致の罪。①大規模民間人殺傷、②制度的迫害、③侵略の反復、の三種に限定される。個別の政治的争点やイデオロギーの対立はこれに含まない。
説明版 「誰がどう見ても絶対に許されない、人としての一線を越えた大罪」。大量殺戮、組織的な差別・迫害、繰り返される侵略の3つ。
贖罪(Atonement / Reintegration)【参照:THP-2 第3条】
学術版 罪を犯した主体が責任を完全に履行し、再発防止の枠組みを確立したことを条件に、国際社会(人倫の防護壁の内側)への復帰を許可するプロセス。
説明版 しっかりと償いをして、「もう二度としません」という約束が認められれば、再び仲間の輪に戻れる手続きのこと。
断罪(Condemnation / Irreversible Mark)【参照:THP-2 第4条・付録条文案】
学術版 普遍的大罪を犯した主体に対し、救済の余地なく下される最終的かつ不可逆の倫理判決。既存の国際法(戦争犯罪、人道に対する罪等)の理念を継承しつつ、司法的処罰を超えた「人類名義の歴史的烙印」として位置づける。現実優先条項に基づき、秩序崩壊を防ぐための限界規定としても機能する。
説明版 「絶対に許されない罪を犯した者」として、その事実が歴史に永久に刻み込まれ、人類の仲間から追放されること。
人倫評議会(Councils of Ethics)【参照:THP-2 人倫機構】
学術版 人倫の維持を担う三層の機関。
世界人倫評議会: 最上位機関。全人類の名において「断罪」と「贖罪」を宣告する唯一の権限を持つ。
各国人倫評議会: 各国に設置。事実調査、証拠収集、量刑勧告を行い上申する。
人倫検討団: 四聖による諮問機関。赦免要請権と断罪再考権を持ち、論理の暴走を抑制する。
説明版 「人類の裁判所」。世界の最終決定役、各国の調査役、そして「本当にこれでいいのか」と問い直す相談役(人倫検討団)の3チームで動く。
E-MAD(Economic Mutually Assured Deterrence)【参照:THP-2 第5条】
学術版 経済的相互確証抑止。倫理憲章違反主体への制裁を、主に経済的手段により自動執行するシステム。暴力に頼らず、経済ネットワークからの隔離等を通じて秩序を維持する。
説明版 ルールを破った者には、経済の仕組みを使って自動的に罰が下る仕組み。「撃てば経済的に死ぬ。守れば共に栄える」という平和のための牽制。
ECX(Echo-Collapse Exchange)【参照:THP全体/旧称:ワルプルギス】
学術版 安全装置や抑制構造が、相互反響(エコー)によって自己反転し、崩壊(コラプス)を連鎖的に伝播(エクスチェンジ)させる「反響崩壊交換現象」。金融(F)、技術(T)、倫理(E)などの各層で発生し得る。
説明版 「守るための仕組みが、自分のせいで逆に壊れていく現象」。お金、技術、心など、あらゆる場所で起きる連鎖的な崩壊のこと。
Ops-KPIダッシュボード(Ops-KPI Dashboard)【参照:THP-7】
学術版 THP運用の監視基盤。Gate-A〜C(通常時)およびGate-D以降(Aftermath/崩壊後移行期)の指標を計測し、秩序の健全性を可視化する。
説明版 THPがちゃんと動いているかを確認するモニター画面。ふだんの画面と、もしもの時のための秘密の画面がある。
備考
「Vendor-Issue / UNTRUSTED」はプロジェクト固有用語であり、本Lexiconの普遍定義には含めない。
本辞書の内容は、THP-2 倫理憲章の更新に伴い適宜改訂される。