私たちの生活を一変させた「新型コロナウイルス(COVID-19)」。この名前を忘れることはないでしょう。しかし、このウイルスはたった一つの顔しか持たないわけではありません。実は、巧みに姿を変え続ける「変装の達人」なのです。
ここでは、ウイルスがどのように変身してきたのか、その歴史をたどりながら、私たちがなぜ今もこのウイルスを「正体不明の挑戦者」として、最大限に警戒し続けなければならないのかを解説します。
Q1. そもそもウイルスの「変異株(へんいかぶ)」って何ですか?なぜウイルスは姿を変えるの?
A1. ウイルスのたった一つの目的は「自分のコピーをたくさん作ること(増殖)」です。そのコピー作業の際、ごくまれに遺伝情報に「書き間違い(コピーミス)」が起こります。このミスを 変異(へんい) と呼びます。
多くの場合、このミスはウイルスにとって意味がなかったり、逆に弱くなってしまったりします。しかし、偶然にも「もっと人間に感染しやすくなる」「免疫から逃れやすくなる」といった、ウイルスにとって有利な変異が起きることがあります。そうした変異を持つウイルスのグループが広がったものを、 変異株 と呼んでいます。ウイルスが何かを考えているわけではなく、たまたま生き残るのに有利なタイプが自然と増えていくだけなのです。
Q2. これまで、どんな手ごわい変異株が登場したんですか?
A2. 私たちの戦いの歴史そのものですね。特に重要だったものを振り返ってみましょう。
Q3. このウイルスの歴史から、一番学ばないといけないことは何ですか?
私たちが確実に知っていることは、ただ一つ。『ウイルスは、これからも必ず変異し続ける』ということです。
そして、次に出現する変異株が「どんな性質を持つのか」は、誰にも予測できません。もっと弱毒化するかもしれないし、デルタ株のように、もっと凶悪な姿で現れるかもしれない。それは完全に運任せなのです。
この 「予測不能性」こそが、新型コロナウイルスの最大の脅威 なのです。
Q4. 「もうただの風邪」という意見もありますが、それでも危険だということですか?
A4. まさにその通りです。「もう風邪でしょ」という考えは、 非常に危険な賭け です。私たちが今持っているワクチンや治療薬は、あくまで「過去のウイルス」を元に作られたもの。私たちは常に、ウイルスの後追いで対策しているに過ぎません。
オミクロン株の時に「弱くなった」と感じたかもしれませんが、それはウイルスの性質だけでなく、多くの人がワクチンや過去の感染で免疫を持っていた影響も大きいのです。免疫が落ちたり、免疫をすり抜ける新型が登場したりすれば、状況は一変します。
ウイルスの根本的な危険性(=予測不能な変異を繰り返すこと)は、何も変わっていません。だからこそ私たちは、常に「正体不明の挑戦者」と向き合っているという緊張感を持ち続ける必要があるのです。